「貧血を起こす」ということ

 

目の前が暗くなったり、冷や汗が出たりすること。

頭がふらっとして、意識を失いそうになること。

そういう症状を一般に「貧血を起こす」と言いますね。

 

以前に、医療者が普通につかっている言葉に一般の方には通じにくいものがあるというお話をしました。

「ヒンカイ」(頻回)とか「ヤッコウ」(薬効)など。

「貧血」の場合は、逆に一般の方がよくつかっている言葉が、医療者に伝わりにくいケースということになります。

 

医療者はこのような症状を実は「貧血」とは言わないのです。

問診室や受付で「貧血になるんです。」と言ったとき

「採血されたのはいつですか?」と問われ、ん?話が通じていない?と思われたことはないでしょうか。

 

私たち医療者の中で「貧血」とは、あくまでも「血液がうすくなった状態」のことを言います。

採血の結果、赤血球の数や血液中のヘモグロビン濃度、へマトクリット値が少なくなって基準値に満たない状態のことを言うのです。

 

ですから、血液がうすくなる 「貧血の原因」にはざっくり分類すると

赤血球の材料不足(鉄分、ビタミンB、葉酸など)

赤血球が消費されたり失われたりする(出血や溶血など)

赤血球が作られない(赤血球は骨髄でつくられます。骨髄の働きが低下しているときなど)

というようなことになります。

 

では、一般の方が「貧血を起こす」というときにつかう「貧血」とは何でしょうか。

 

意識がふらっとしたり、気分が悪くなったり、冷や汗をかいたり、立っていられなくなる状態ですね。

「脳貧血」という表現をするかも知れません。

これは脳へ運ばれる血液の循環量が一時的に減少している場合が多いです。

もともと血圧が低い人が、急に立ち上がったりして脳へ血液が十分に届かなくなったり。

またお酒、アルコールを飲むと体の血管が広がって血圧が下がり、同じように脳への血流量が不十分になって症状が出ることもあります。

同様に強い脱水のときも、同じような症状が出ることもありますね。

血液(赤血球)の最大の役割は「酸素を運搬をすること」ですので、血液が十分に届かないと脳は酸欠状態になります。

 

もうひとつ。

低血糖の時も、同じような症状が出ますので注意が必要です。

 

 

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