診察室の「おはなし」

 

河合隼雄先生がこんなことを語っていました。

「人間は、おはなしを必要とする。

自分が生きている間に経験するいろいろなことを自分の体験にするためには『おはなし』が必要である。」

 

この「おはなし」に焦点をあてた医療をナラティブ・ベイスド・メディスンと呼びます。

 

ナラティブ(物語)は、語り手によって語られることで作り上げられていくこと。

そのため、「唯一正しい真実」などは存在せず、複数の物語があっても矛盾しないことを理解すること。

あたかも大河小説のドラマのような、文脈がいくつも交錯していくもの。

物語を引き出していく上で、医療者は非常に重要な役割を持つこと。

(誘導を避けるために質問を極力さけるバリントとはこのあたりが違います。)

 

ほかにもいくつかポイントがありますが、私が考える、最も重要なポイントは

「あなたの人生」の専門家は、ほかならぬご本人なのだということを医療者と再認識すること」

だと思います。

私たち医療者は「“あなた”専門家」であるあなたに、いろいろと教えていただくのです。

 

そして、医師側の方にも「ナラティブ」はあります。

これがなかなか自分で気づいていないこともあって、厄介です。

 

 

診察室では、毎日、多くの「おはなし」が語られているのですが

時々、うまく引き出すことができていないのではないかと不安になります。

 

 

 

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