「しあわせの書」

 

「しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術」泡坂 妻夫著

これはすごい本です(笑)

 

初版が1987年なのに、今でも時々本屋さんのプッシュがかかったりしますので

平積みされたこの本を見覚えのある方は少なくないのではないでしょうか。

 
 

 

題名が題名だけにスピリチュアルものなのかと勘繰る方もいるかも知れませんが、違います。

どちらかというと、内容はおどけたミステリーものといった感じです。

読みなれた方には、言い回しや言葉の使い方に少し違和感を覚えるかも知れません。

それは、ある理由があり、どうしても達成しなければならない目的があるためです。

 

解説が、松田道弘さんというところがミソですね。

松田さんは「あそびの冒険」や「クロースアップ・マジック事典」「松田道弘のマニアック・カードマジック 」など

数多くのマジックの書物を著していて、その膨大な知識は驚愕するばかりです。

そういう方が、解説をなさっているのです。

作家の泡坂妻夫さん自身もマジシャンの顔をお持ちの方です。

 

そう、マジック好きにはたまらない本なのです。

 

この本の最大の特徴は、小説の中に「しあわせの書」そのものが登場してくることです。

そして、「しあわせの書」が鍵となって、物語が展開していきます。

作中で「しあわせの書」は、奇妙なしかけがあるらしい文庫本として描かれています。

 

最後まで読んだ読者は、あることに気づかされます。

「そうだ。今、私が手にしているのは、ひょっとして『しあわせの書』そのものじゃないか?」

 

 

読心術など超能力をにおわせるマジックのことをメンタルマジックと総称します。

最近流行のメンタリズムという言葉は、そこから来たものでしょう。

 

そして、本や雑誌などを使って、相手が選んだ任意のページの言葉や文字、図などを言い当てるマジックを「book test」といいます。

 

もし、この本が、実はメンタル・マジックのツールでもあると言ったらどう思われますか?

マジック・ツールとして販売してあるのなら、値段はもっと跳ね上がってもおかしくないと思います。

あくまでも「文庫本」なので400円そこいら。

 

ああ、もうこれ以上は書けません。

とにかく、凄い本なのです。

 

 

泡坂妻夫さんは、地道で細かい、凄い仕事をされたと思います。

 

 

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