人は、様々な人たちと関わりながら生活しています。
周りの人たちの表情を読み取りながら、生活をしていると言い直しても良いかも知れません。
怒り、敵意、親しみ、好意、恐怖、悲しみ、絶望感など…。
表情は、文字通り、今その人が感じている感情を世界に表出しているサインです。
けれども、町に出ると、敵意も好意も持ってない曖昧な表情に遭遇することの方が多いですね。
通りすがりの人たちの表情というのは、敵意も好意も持ちようがない瞬間の間柄ですから、当然です。
もちろん、いつもニコニコの笑顔で周りを照らしてくれる太陽のような方はいらっしゃいますが
そう多くはありません。
気分が落ち込んでいる人は
笑っても怒ってもいない曖昧な表情を見ると「空虚感」や「疎外感」を連想するかも知れません。
怒りの真っただ中にある人は
曖昧な表情で同じように「攻撃性」を読み取る傾向があるでしょう。
良い気分の人は「好意」を感じます。
同じ「曖昧な表情」であるのに、どう受け取るのかというのは
その人の感情のあり方に左右されているということでしょう。
次に紹介する報告は、「曖昧な表情」は笑顔の一部だと教育することで
感情の世界だけでなく、実際の生活や行動にも良い傾向をもたらしたというものでした。
Psychol Sci. 2013 Mar 26. [Epub ahead of print]
3分の2がすでに刑事上の有罪判決のいくつかを持っているような、問題を抱えた十代の若者たちが
ある教育プログラムを受けた調査です。
それは、怒りから笑顔へと少しずつ変化する連続した15通りの顔写真を見せて
「曖昧な表情」は笑顔だと認識させるトレーニングでした。
仏頂面はともかく、一見して無表情は「笑顔」に分類させるのです。
そのような教育を受けた若者たちは、受けていない若者たちに比べて
明らかに行動が変わったのだというのです。
笑顔を向けられていると感じるだけで、
(実際には曖昧な表情だったのにも関わらず!)
行動変容を促すほどの影響を受けたという結果でした。
怒りやすい人、攻撃性のある人というのは
過去にそれだけの「怒った顔」に囲まれた感情の世界、環境にいたということなのでしょう。
笑顔を向けることは、その人の行動を変え
社会を明るくする。
再認識する報告でした。