「解錠師」

 

 

今回、学会出張の飛行機上の読書は

解錠師 スティーヴ・ハミルトン著 越前敏弥訳

 

 

解錠師の原題が「The Lock Artist」

 

 

「八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。

だが彼には才能があった。

絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。

孤独な彼は錠前を友に成長する。

やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり

芸術的腕前を持つ解錠師に…。」

 

 

サスペンスやミステリーの触れ込みですが

(「このミステリーがすごい!2013年版 海外編」第1位らしいです。)

訳者あとがきにあったように、良質な「青春小説」といった方が良いかも知れません。

 

 

特殊能力を持つゆえに犯罪に巻き込まれてしまう内省的な少年が

その瑞々しい心情を告白するような手記形式で物語は語られていきます。

 

 

読者は、「引き返すチャンス」を主人公とともに強く意識しながらも

主人公の選択に共感し、応援のエールを送ります。

なぜなら、主人公は「守りたいひとつのものを守るために」道を選択しているから。

後戻りしないのは、そのためです。

 

 

運命の力に翻弄され、あやつられているようでも

「守りたいもの」を定点としている彼は

とても強いのです。

 

 

つい十代の頃を思い出して、こっ恥ずかしい気持ちを抑えながら読んでいました。

 

 

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