肥満は、おおまかに2つのタイプに分けられるということはご存じでしょうか。
「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」です。
それぞれ、脂肪のつきかたで体型が違ってくるので
リンゴ型肥満(内臓脂肪型) と
洋ナシ型肥満(皮下脂肪型)と呼ばれています。
リンゴ型肥満は、お腹の皮膚が薄く、一見太って見えないという特徴があります。
本人も含め、肥満に気づきにくいことがあるのが厄介です。
内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化などの合併症を多く引き起こすため「悪性肥満」に分類されています。
洋ナシ型肥満は、 下腹部やおしり、太ももの皮下に脂肪が蓄積するタイプです。
一度つくとなかなか減らせないのが特徴です。
ここまでは「肥満」のタイプのお話でした。
さて、今回紹介する文献は、肥満の有無とは関係なく
このリンゴ型の体型が
腎臓の循環に悪い影響を与えるものだということが示されたものです。
Published online before print April 11, 2013, doi: 10.1681/ASN.2012050460 JASN April 11, 2013 ASN.2012050460
ここでは、リンゴ型なのか洋ナシ型なのかを判断するために
ウエスト・ヒップ比を調べています。
リンゴ型だとウエストとヒップの差がほとんどないか
あるいはウエストの方が大きい状態ということです。
315人の健常者で調査しました。
参加者の平均のBMIは24.9でした。
(定義上、肥満とは言えないような人たちです。)
性別、年齢、平均血圧およびBMIなどの影響を取り除いて分析した結果
ウエスト・ヒップ比が大きければ
有効腎血漿流量や糸球体濾過率を低下させていました。
言い換えれば、ウエストとヒップの比率を測定することで
その方の腎臓のはたらきが、ある程度推測されるかも知れないということです。
なにしろ、肥満の方々のことだけを言っているわけではないのですから。
「リンゴ型」に「かくれ肥満」が多いとされるゆえんですね。
内臓脂肪の蓄積というのは、メタボを含め、
やはり、諸悪の根源と言えそうです。