透析者に限らず、慢性の病いを患っている方は
精神的に落ち込むことは多いものです。
その時の一般的なアプローチとして
抗うつ薬などに代表される薬物療法や
薬を使わない認知行動療法などは
効果のある治療法として期待されているものです。
これらメンタルヘルスに対して、最近、面白いアプローチの調査報告がありました。
「週6回の血液透析はメンタルヘルスに効果があるか?」
American Journal of Kidney Diseases, 2013-05-01, Volume 61, Issue 5, Pages 748-758
332人の透析者が調査に参加しました。
昼間に245人。施設透析での比較。
週3回の、いわゆる通常の透析に対して、週6回施行の透析。
つまり、週3回 vs 週6回 の、2つのグループに分けて比較しました。
うつ症状やメンタルヘルスに関して、質問票に答えてもらってスコア化して評価していくものです。
また、夜間(オーバーナイト)には、87人が参加しました。
結果です。
週6回の透析の方が(つまり、回数多く透析をした方が)
メンタルヘルスに関して良好だったという結果が出ました。
ただし、うつの症状に関しては有意な違いはなかったようです。
ここで、シンプルな疑問が生じてきます。
回数が多い透析において、メンタルヘルスが向上する理由は何なのでしょうか。
もっと重度のうつ傾向の人やメンタルヘルスが低下した人にも、同じ効果が得られるものなのでしょうか。
確かに、透析の回数を多くすることは、尿毒症物質、体液貯留、炎症性サイトカインなどの改善はみられると思います。
身体が調子良くなったことが、心に良い影響を与えたのでしょうか。
確かに、体や頭がすっきりしていると、さわやかな気持ちになりますものね。
あるいは施設透析に週に何回も通うことで、医療者と接する機会が多くなったことが
副次的な効果をもたらしたのでしょうか。
なぜ、このような結果が出たのかに考えをめぐらすことは
透析の可能性を広げるようで、非常に大切なヒントが隠されている気がします。