タバコの害は、長く吸い続けることで出てくるものだけではないというお話です。
「今吸ったとしても、健康に影響が出てくるのはずっと何年も後でしょ。」
決して、そうではないのですね。
吸っているその時から、特に心臓には悪影響を与えているということです。
Acute electrocardiographic changes during smoking: an observational study
BMJ Open2013;3:e002486 doi:10.1136/bmjopen-2012-002486
この調査は、タバコを吸っている時の、心電図の変化を調べてみたものです。
参加者は、非定型の胸痛を訴えるタバコを吸う男性。
トレッドミル運動負荷試験(運動をしながら心電図の変化を調べる試験です)で
陰性か、軽度の陽性所見が出ている人たちです。
参加者は31人で、平均年齢は49.8±10.5歳です。
タバコを吸っている間の心電図の変化を評価するために
24時間ホルター心電図を施行して、その変化を調べてみました。
その結果です。
喫煙中に、急激に心拍数が上昇しました。
タバコを吸う10分前は平均83.8±13.8回/分だったのが、90.5±16.4回/分まで増加したのです。
そして、元のベースラインに戻るまで、タバコを吸い終わっても30分間待たなければなりませんでした。
タバコはまた期外収縮の不整脈の増加もみられています。
3人の参加者に、明らかな虚血性の変化がありました。
もちろん、タバコは冠動脈疾患にとって危険因子だということは知られています。
けれども、こういう形で「吸っているその時に」心臓に悪影響を与える証拠が出たことは
それを知らずに吸い続けていた喫煙者にとっても良いことだと思います。
タバコは、今、吸っているその時が害なのです。