血糖の上がり下がりが、何を先に食べるかで変わってくると言われて久しくなります。
今日はそのお話を紹介します。
そのお話のもとになる論文が糖尿病学会の学会誌に掲載されたのが2010年ですから
すでに3年が経過しているんですね。
いわく、「食べる順番によって血糖値の上昇の仕方が違ってくる」
まずは健康な方の試験結果です。
低Glycemic Index食の摂取順序の違いが食後血糖プロファイルに及ぼす影響
金本 郁男, 井上 裕, 守内 匡, 山田 佳枝, 居村 久子, 佐藤 眞治
日本糖尿病学会誌「糖尿病」(2010)2月号、 53(2):96-101
これは、健康な男女10名を対象にしています。
ドレッシングをかけたキャベツのサラダを食べてから10分後に米飯を食べてもらいました。
食べ終わる時間には制限を設けず、それぞれのペースで食べてもらっています。
採血のタイミングを食前10分、摂食開始後20、30、45、60、90、120分の合計7回行って
血糖値とインスリン値を調べました。
もちろん、逆の順番ならどうかという比較をするために
米飯を食べて、10分後にサラダを食べる場合についても調べました。
結果が以下のグラフです。
●の線がご飯を先にサラダを後に食べた血糖の変化です。
30分後にピークがきているのがわかります。
一方で○の線がサラダを先にご飯を後に食べた血糖値です。
ピークは90分後ですね。
サラダから食べると、血糖値の上昇が抑えられているのがわかります。
もうひとつの論文は、今度は2型糖尿病の患者さんでどうかということを調べたものです。
糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果
今井 佐恵子, 松田 美久子, 藤本 さおり, 宮谷 秀一, 長谷川 剛二, 福井 道明, 森上 眞弓, 小笹 寧子, 梶山 静夫
日本糖尿病学会誌「糖尿病」(2010)2月号、53(2):112-115
2型糖尿病と診断されて食事療法のみで治療中の外来患者さん男女の15名を対象にしています。
これも米飯と野菜サラダで、エネルギー量は全部で340Kcalとなるように調整しました。
前の調査と同じように、順番を変えて検査をしています。
結果のグラフが以下です。
サラダを先に食べた方が血糖値の急上昇を抑えられました。
ということは、健康な人、糖尿病の人に関わらず
食べる順番は食後の高血糖を押さえると言って良さそうです。
佐久田家では、知ったかぶりの父(すなわち私)が、子ども達をつかまえて
とんかつ定食を前に「キャベツを先に全部食べるのがよろしい」と訓示をたれます。
「なんで?」と訊かれたら
「なんか血糖値にいいらしいんだよねえ。」とさらに知ったかぶりします(笑)。
注意していただきたいのは、この2つの論文は、どちらも野菜サラダを「食べ切って」から、米飯に手を伸ばしてもらっているものだということです。
サラダを少し食べて米飯におはしをつける…ではないのですね。
しかも論文の研究通りにするならば、サラダを食べ切って10分経過した後に米飯に手をつけることになっています。
もちろん、そこまで厳密にする必要はないかも知れません。
この研究のデザインがそうなっているだけで、もしかしたらサラダのすぐ後でも効果はあるかも知れません。
個人的には、初めはスープでお腹を温めてから…というささやかな喜びも我慢しなければならないのが残念です。
けれども、食事の順番だけで食後血糖の急上昇を抑えるという方法は、画期的だと思います。
ひとつのヒントとして、これをさらに発展させていく必要がありそうですね。
ほかにもいろいろなアイディアがでてくる気がします。
お久しぶりです
今までに、こんな話を聞いた事はあるんですが、実際にデータを見たのは初めてなので、勉強になりました
ありがとうございます