有酸素運動と筋力トレーニング  文献から

 

「先生、どんな運動が良いのですか? やっぱりウォーキングですか?」

2型糖尿病と診断された方が、よく質問されることです。

私も「ウォーキングとか、有酸素運動が良いとされていますよ。」とお答えしていました。

 

 

有酸素運動と筋力トレーニングのどちらかを選ぶとすれば

今までの研究では有酸素運動の効果が大きいとされてきたからです。
しかし、最近のおすすめは、少し違っているようです。

確認しておきましょう。

 

 

Changes in Insulin Resistance and HbA1c Are Related to Exercise-Mediated Changes in Body Composition in Older Adults With Type 2 Diabetes
Interim outcomes from the GREAT2DO Trial
Published online before print March 8, 2013, doi: 10.2337/dc12-2196 Diabetes Care March 8, 2013

 

 

この調査の概要はこうです。

60歳以上の2型糖尿病の方たちを対象に調べています。

筋力トレーニングではない、別の種類の運動をしてもらう人たちと比較してみました。

(ここでは 筋肉に負荷を増やしていく運動 ≒ 筋力トレーニング と呼びますね。)

 

 

その結果、体重や筋肉の量、内臓脂肪などは、運動の種類で差がほとんどありませんでした。

けれども

メタボを評価する指標は、筋力トレーニングをしてきた方が良かったという結果がでたのです。

 

 

RRTvsSham

 

 

2型糖尿病で、年齢が高い人々にとって、少しずつ負荷を増やしていく運動は

血糖コントロールを改善してインスリン抵抗性を改善していくわけです。

 

 

一方で、運動はしても筋力に負荷をかけないようなトレーニングでは

同様な効果はみられませんでした。

 

 

筋力トレーニングは、骨格筋の量を増やすことになります。

そして、脂肪の量を減らしながら糖尿病のコントロールを良くしていくのですね。
 
経験された方もいらっしゃるかと思いますが、この種のトレーニングは見かけの体重を減らすことはなかなかありません。

しかし、体の中身を改善していくのですね。

 

 

筋力トレーニングは、ちょうど糖尿病の薬を新しく加えるようなものだといいます。

それだけの効果が得られますよということです。

 

 

アメリカのガイドラインは、ほとんどがこの有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせを推奨しています。

 

 

それでは、どんな筋力トレーニングが良いのでしょう?

それがまだはっきりと提示されるまでには至っていないのが現状です。

 

 

こう考えてみたら、どうかなと思います。

高齢者の方々は、変形性関節症や末梢血管疾患などの慢性の病気を持っているために

もともとウォーキングなどの有酸素運動がやりたくてもできないという方がいらっしゃいます。

 

 

こういった有酸素運動が困難な状態の方も、座ってできる筋力トレーニングを選択するのです。

 

筋肉の量を増やすために、ダンベル体操などを利用してみる。

腹筋や背中の筋肉を鍛えてみる。

(筋肉ムキムキをめざすわけではありませんからね。)

 

 

難しく考えずに、できることからやってみたいですね。

 

 

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