ウイリアム・オスラー博士の著書「平静の心」(日野原重明・仁木久恵訳)の中に
「医師と看護婦」という章があります。
その章の裏扉にトマス・ブラウン卿の文があり、その名前の注釈にこうあります。
「トマス・ブラウン(1605-1682):オスラーはブラウンを崇拝し、その著書『医師の信仰』を医学生の必読書としている。」
これを見てしまった私は、ぜひとも『医師の信仰』を読まなければならないと思いました。
ネットの古本屋を探し、何とか手にして読んでみました。
後で気づいたのですが、実は金沢大学の学術情報のサイトにpdf化された『医師の信仰』がアップされていて
読めるようになっているのですね。
いやあ、すごい世の中になったものです。
オスラー卿が崇拝したという偉大さの半分も理解できていないのかも知れませんが
当時28歳から30歳の頃、彼が研修医時代に執筆したものだということを考えてもすごい洞察力だと思いました。
例えば、この文。
人との接しかたについて言えば、私は太陽のごとく分け隔てせず、善人にも悪人にも親しみを込めて顔を向けている。
私が思うに、悪人など存在せず、極悪人も最良の人なのではないか。
悪人といえども、善き性質を保持し、その圏内にとどまっている限りは善人なのである。
(中略)
堕落し悪にまみれた性質の人々にもいまだ損なわれていない部分が残されており
これは周囲に反発することでこの上なく優れた点となりうる。
即ち、著しい反感を示すならば、その部分は悪徳という敵に汚染されずに済み、さらには、
広くはびこる堕落をも免れて全き状態を保ちうるのである。
最も優れた膏薬は、極めて腐食性の強い物質の中に包み込まれている。
さらに私の経験に基いて言えば、毒は自らの内部にその解毒剤を含んでおり
これによって自らを自らの毒から守っている。
これがなければ、毒物の危害は他に及ぶばかりか、自らにも損害をもたらすであろう。
ウイリアム・オスラー卿は
「寝る前の30分を読書に ― ベッドサイド・ライブラリー」の項で
教養を十分身につけるためには、各人が自らを磨かねばならない。
直ちにベッドサイドに蔵書を置き、寝る前の30分を聖者と呼ばれる偉大な人物との心の交わりに費やしていただきたい。
と述べています。
読書は人生を助けますし、落ち込んだ自分を拾い上げてくれます。
ん~。
久しぶりに図書館に行きたくなりました。
コメント失礼致します。医学科6年の学生です。私も「平静の心」を読み、「医師の信仰・壺葬論」をだいぶ前から探していたのですが見つからず、今回、先生のブログを拝読し発見することが出来ました。本当に有難う御座います!!まさかネット上にpdfで公開されているとは…!
医学生さん コメントありがとうございます。
医学生さんのように関心を持ち、「医師の信仰・壺葬論」のような本をすすんで手にするということは、とても頼もしく思いました。
お役に立てたようで私も嬉しいです。
高知のカフェで「平静の心」を見つけ、読んでいる内にこちらのサイトにたどり着きました。紹介ありがとうございます。「医師の信仰」も折に触れて読んでみようと思います。