厚生労働省のサイトに「国民健康・栄養調査」を見ることができます。
これは、日本人の身体の状況、栄養摂取量や生活習慣の状況を明らかにするためで、毎年実施されています。
これは、BMIが25以上の割合を示したものです。
高齢者では、一般に内臓脂肪の増加傾向を示すといわれています。
けれども、このグラフでは高齢になるにしたがって、BMI25以上の割合が高くなっているわけではないですね。
男性の場合、平成23年では中年期の40-49歳の方が 34.8%で トップになっています。
加齢とともに割合が低くなっているのは
筋肉量が加齢とともに減少して、見かけ上BMIが上昇しない
いわゆる「かくれ肥満」の割合が増えているからと言われています。
「内臓脂肪が蓄積して筋肉量が減る」のが高齢者の肥満の特徴だということです。
ですから、高齢者の場合、BMIだけで評価すると内臓脂肪、筋肉量の評価を誤ることになります。
中年期までは、BMIが25以上の場合、心血管疾患などの死亡リスクを高めることが知られています。
BMIが22前後で死亡リスクが最も低くなります。
高齢者では、BMIとしてはむしろ高めの方が(筋肉量が多い方が)長生きするという報告が多いです。
Flicker L, McCaul KA, Hankey GJ, et al:Body mass index and survival in men and women aged 70 to 75.
J Am Geriatr Soc 58:234-241,2010
死亡リスクが最も低いのが、25よりも大きいところにあるのがおわかりですか?
「ちょい太のほうが元気がいい」と言われてしまうゆえんですね。
けれども、筋肉量が減って、内臓脂肪が増えてしまういわゆる「内臓肥満」は
高齢者でも、やはり結果は中年期と同じことになってしまうことがわかっています。
しつこいようですが、高齢者の肥満リスクを単純にBMIで評価してはいけないということだと思います。
高齢者の方ほど、無理をしないことが前提ですが、筋肉を増やす運動が必要になってくるのでしょう。
内臓脂肪を減らそうと、単純に食事摂取量を減らして筋肉量を減らすことがあってはいけませんね。