「意味がありそうで、つながっていそうな偶然の一致」のことをシンクロニシティと呼ぶそうですが
私には最近、気がついたらよく目にしている言葉があります。
(「シンクロニシティ」という言葉を提唱した心理学者のユングが、どうもオカルトに傾いたっぽい人だったということを知ったのは、実は最近なのですが。)
よく目にする言葉というのは「意志力」という言葉です。
「シンクロニシティ」という言葉を持ち出さなくても
私の場合は、簡単に説明がつくかも知れません。
単純に「意志力」という言葉に憧れをもっているからなのだと思います。
本屋さんで何となく手にして、それこそ何となく購入した後に、
帰宅後に妻から「あなたが好きそうな本を買ってきたよ。」と言われて、見ると同じ本でした。
スタンフォードの自分を変える教室(ケリー・マクゴニガル著)です。
彼女のスタンフォード大学での
「意志力 ― 注意力や感情や欲望をコントロールする能力」
についての講義をまとめたものです。
冒頭で、意志力には3つの力
「やる力」
「やらない力」
「望む力」
があると説明しています。
「やる力」と「やらない力」がせめぎあい自己コントロールをしていく中で
自分が本当に望むものを思いだす力「望む力」を駆使して、目標を達成していく。
言葉では簡単ですが、それがなぜできないのかを考察し、明らかにしてくれています。
たとえば、次の言葉にはなるほどと思いました。
「意志力のチャレンジに取り組むにあたり、道徳的によいことをしているような気分になると
よいことをした分、わるいことをしてもかまわないような勘ちがいを起こしてしまう。
自己コントロール力を向上させるには、道徳的な善し悪しよりも
自分の目標や価値観をしっかりと見つめること。」
人は何かいいことをすると、いい気分になり、自分の判断を信用しがちになるそうです。
たしかに、健康に良いと言われている食品を、ついついカロリーオーバーで食べ過ぎてしまう人はたくさんいますよね。
また、一度失敗するともっとダメになりたくなる心理についても書いてありました。
「実際に失敗を経験したときは ― それは避けがたいことです ― 失敗したことを許すのが大事で
なげやりになって誘惑に負けたり、目標をあきらめたりしないことです。
こと自己コントロールに関しては、自分を責めるよりも
自分への思いやりをもつほうがずっとよい戦略です。」
失敗を繰り返すのは、罪悪感のせいで「どうにでもなれ」と思ってしまうから―。
自分に厳しくしても意志力は強くならないばかりか
自己批判はモチベーションの低下や自己コントロールの低下を招いてしまうそうです。
これは面白い話だと思います。
人は気づかないうちに、まるで反対のことをしています。
間食をやめたり、カロリー制限、禁煙、運動を続けること。
つまり、習慣を変えようとすることは
すべて自己批判こそ自己コントロールに必要不可欠の要素だと思っているフシがありますから。
自己に常に厳しい人こそ、意志の力が強いというイメージですよね。
また、この本にも自分をセルフモニタリングする重要性が書いてありました。
自分の感情や思いを見つめること。
すべてに通じることですが
それが第一歩のようですね。