一般的な風邪薬に「ビタミンC」が入っているものを多く見かけますね。
ビタミンC は、風邪薬として効果があるものなのでしょうか?
そういう疑問をもとに、コクラン・レビューが調査報告をまとめてくれました。
Vitamin C for preventing and treating the common cold.
Hemila” H, Chalker E. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Nov 29;1:CD000980. DOI: 10.1002/14651858.CD000980.pub4. (Review)
背景:
ビタミンC(アスコルビン酸)が風邪の予防や治療に効果があるかどうかということは結論が出ず、実に70年間の論争の対象となっているそうです。
ここではビタミンCの風邪に対する次の効果
予防効果
治療効果
について明らかにしようとするものです。
目的:
ビタミンC が風邪の発生率、あるいは罹病期間や症状を軽くさせるかどうかを調べました。
服用の方法としては
普段からビタミンC を毎日飲み続けていた方が良いのか
あるいは風邪の症状が出現してから飲んでも大丈夫なのか
を検討しています。
選択基準:
ビタミンC を1日あたり0.2gよりも少ない量を使用した研究は除外しています。
また比較対照のない研究も除外しています。
比較対照のある研究のみを調査しました。
データ収集と分析:
「普段からビタミンC を飲むことは風邪を予防するか」という評価は、1回以上の風邪をひいた人を調べることで検討しました。
「風邪がすぐ治るかどうか」は風邪をひいている平均日数で比較しました。
主な結果:
全体として1万1千306人を対象にした29の研究によって風邪をひきやすいリスクについて分析しました。
〔ビタミンC は風邪の予防効果はあるか?〕
1万708人の一般人を対象にした調査では、ビタミンCをとっていない人のリスクを「1」とした場合、とっている人は「0.97」でした。
つまり、あまり差がなかったということ、とりたてて効果があるとはいえなかったようです。
しかし、598人のマラソン選手、スキーヤー、兵士など、普段から体を鍛えている人たちを対象にした5つの調査では、リスクは0.48にまで減少していました。
つまり、体を鍛えている人たちには、ビタミンCは予防効果があるようなんですね。
〔ビタミンC は「風邪ひきの日数」を短くさせるか?症状を軽くさせるか?〕
いつもビタミンC を飲んでいる人の「風邪ひきの日数」を調べました。(31の調査)
成人の場合、約8%の日数が短縮し、子どもは14%短縮していました。
特に子どもの場合、1~2g/日のビタミンC をとっていると、18%まで短縮されることがわかりました。
風邪の重症度もビタミンC 投与により減少していました。
〔ビタミンC は風邪の治療薬として使えるか?〕
風邪に対して、治療薬としてビタミンC が効果があるかどうかは、7つの調査で検討されました。
結果は、ビタミンC を使用しても、風邪の期間や重症度の改善に効果はみられませんでした。
レビューアの結論:
【予防効果について】
風邪を予防するために、ビタミンC を補給することは、一般の人たちに対してはあまり効果はみられませんでした。
しかし、日ごろから体を鍛えている人たちにはビタミンC は役に立つかも知れないということを示しています。
【治療効果について】
普段からビタミンC をとっていれば、風邪をひいている日数を短縮させることが示されました。
風邪をひいてから、ビタミンC をとることが有益かどうかについては
比較的安いものであること、安全であることを含めて
風邪をひいている期間が短くなるかも知れないですし
重症になりにくいということを考えると、価値があると考えた方が良さそうです。
ただし、やはりいろいろと結論づけるには、もっとたくさんの調査研究が必要になってくるだろうとまとめていました。
個人的には、食欲が落ちている風邪症状のある発熱の患者さんには、ビタミンC は良いのではないかと思っています。
食事も摂れないほどに弱っている患者さんには、十分な水分とともに経口補給が良い気がします。
それと!
ビタミンC で予防効果を出すためには、日ごろから体を鍛えていた方が良いかも知れませんね。
(アスリートのように !?)