「歩む者のない道」

アメリカで多くの人に親しまれて愛され続けているRobert Frostの詩は

読む人の置かれた状況によって解釈が違ってくるところが面白いです。

後世に残るような詩は、ほとんどがそうなのでしょうが、特にRobert Frostの詩はそんな感じがします。

時には励ましの言葉となり、時には慰めの言葉となり、時には後悔を促す告白の詩になります。

 

詩の解釈に正解なんて存在しないでしょうし、それを求めることこそ愚かなことだと思いますが

次の詩は、作者自身が直接的に「あなたはこの詩をどう感じますか?」と投げかけているかのようです。

下に続けて和訳を載せています。

 

 

「The road not taken」

 

 Two roads diverged in a yellow wood,

 And sorry I could not travel both

 And be one traveler, long I stood

 And looked down one as far as I could

 To where it bent in the undergrowth;

 

Then took the other, as just as fair,

 And having perhaps the better claim,

 Because it was grassy and wanted wear;

 Though as for that the passing there

 Had worn them really about the same,

 

And both that morning equally lay

 In leaves no step had trodden black.

 Oh, I kept the first for another day!

 Yet knowing how way leads on to way,

 I doubted if I should ever come back.

 

I shall be telling this with a sigh

 Somewhere ages and ages hence:

 Two roads diverged in a wood, and I-

 I took the one less traveled by,

 And that has made all the difference.

 (Robert Frost, 1916)

 

 それこそ詩の翻訳に正解などないのでしょうが、代表的な和訳を載せます。

 

「歩む者のない道」

 

黄色い森の中で道が二つに分かれていた

 残念だが両方の道を進むわけにはいかない

 一人で旅する私は、長い間そこにたたずみ

 一方の道の先を見透かそうとした

 その先は折れ、草むらの中に消えている

 

それから、もう一方の道を歩み始めた

 一見同じようだがこちらの方がよさそうだ

 なぜならこちらは草ぼうぼうで

 誰かが通るのを待っていたから

 本当は二つとも同じようなものだったけれど

 

あの朝、二つの道は同じように見えた

 枯葉の上には足跡一つ見えなかった

 あっちの道はまたの機会にしよう!

 でも、道が先へ先へとつながることを知る私は

 再び同じ道に戻ってくることはないだろうと思っていた

 

いま深いためいきとともに私はこれを告げる

 ずっとずっと昔

 森の中で道が二つに分かれていた。そして私は…

 そして私は人があまり通っていない道を選んだ

 そのためにどんなに大きな違いができたことか

 (ロバート・フロスト,1916)

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人生の話を持ち出すでもなく、人はいつでも岐路に立ちます。

迷いのない人などいないでしょうし、どんな目標を持っていたとしても、そのやり方に絶対の自信を持っている人も少ないでしょう。

この道が果たして正しいのか、良い未来へと導いてくれる道を選んでいるのか。

引き返すことも躊躇してしまう。

果たして、目指す未来への道はあるのか。

けれども、道がないと思うような状況の時にも、「必ず一本の道はある」と信じる勇気を持ちたいです。

 

 

 

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