内科を標榜している医師として、病いを抱える方に向きあうためのひとつの手段として、認知行動療法のアプローチの仕方にとても関心があります。
(認知行動療法は英語でCognitive Behavior Therapyといい、CBTと略します。)
本を読んで勉強していましたが、さすがにこれは独学ではいかんだろうと思いました。
実際を知らずに現場で使うには申し訳がないと思い、洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長の伊藤絵美先生による専門家向けのワークショップを受講させていただきました。
人の心の動きや生活を、気分、感情、考え、感覚、身体の反応、行動という要素に着目して、あたかも自分を外から眺めるように自分を分析していくものです。
すべてのことをあるがまま as it is に見ていきます。
興味深いのは、CBTは他者救済の発想ではなく、自分が自分に取り組むツールなのだということでした。
だから、どんな人でも可能のようです。
「認知(考え・イメージ)」や「行動」は修正がきくというスタンスは、「他人は変えられないが、自分は変えられる」に通じるものがあります。
自分が今、どんな感じや思いで、その事柄に対面したか。どんな考えで行動を起こしたか。
そのセルフトーク(つぶやきや口グセ)を注目していきます。
自分の偏見や固定観念、思い込みに気づくようになります。
例えば、「ヒトはしっかりしないとダメだ」という口グセの親に育てられた人は、必要以上にモノゴトを完璧にこなそうとするかも知れません。
絶対にやり遂げないとダメだとプレッシャーを自分にかけ続けて、いつでも緊張し続けているかも知れません。
その自分の考えを対象化して、距離を置くことができれば「ありのまま、そのままの状態」がそこに浮かびあがってきます。
今の自分のありのままがわかれば、受容することもできるかも知れません。
受容や変容ができなくても、この「ありのままの自分を知ろうとすること」自体が大切なのではないかと思っています。
セルフ・ヘルプはそこから始まっていきます。
やり方は何でもいいですね。
思いつくままを紙に書き落とすでもいいし、それこそ静かに瞑想するでもいいし。
佐久田は、出来事をメモ書きするだけの簡単な日記を書くようにしています。