もちろん私見ですが、腹膜透析の診療を一生懸命されている先生達というのは、人間愛の深い方々が多いように思います。
以前の話になりますが、東京大学病院での腹膜透析の研修参加を快く引き受けてくれた石橋由孝先生(現在は日本赤十字社医療センターの腎臓内科部長をされています。)や、個人的にも親しくさせてもらっている富士市立中央病院の笠井健司先生など
お二人なら名前を出しても許していただけるだろうと思ったので書きましたが、ほかの先生方も、挙げたらキリがないぐらい愛深き方々が並びます。
特に石橋先生が提唱する「次世代腎不全医療」は、慢性疾患を抱える人々の生活を支えようとする人間愛を基点にしています。
その視点は、「人間の生きる意味」まで掘り下げてアプローチするものです。
人の心を深く理解しようとする、その謙虚な姿勢は頭が下がります。
石橋先生のレクチャーの前半の部分はそこから始まっています。
「治らない病気」となった人は、それを抱えてどう生きていったら良いのでしょうか。
絶望の中にいる人に、医療スタッフはどう接したら良いのでしょうか。
その問いかけの答えの手がかりとして(もちろん完璧な解答などないのでしょうが)
「夜と霧」の著者である精神科医のヴィクトール・E・フランクルの言葉を紹介しています。
(敷居が高く思うのでしたら、「NHKテレビテキスト フランクル『夜と霧』 2012年8月 (100分 de 名著)」をおすすめします。)
フランクルは、第二次世界大戦の際、ユダヤ人であるということだけでナチスの収容所に収容されました。
自ら過酷な経験をしたフランクルが、極限状態の中で、人間はどのように思い、行動していくのか。絶望の中で何に希望を見出すのかを書き残してくれました。
原題は「強制収容所におけるある心理学者の体験」です。
フランクルの言葉は、悩み苦しみの果てに疲れきった人々に向けられています。
「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生の方があなたに絶望することはない」
「精神性の高い、感受性の豊かな人が体の頑丈な人よりも生き抜いた」
私が大切にしている言葉もあります。
「人間は常に人生から問いかけられている」
「人生からの呼びかけに応えていく」生き方への促しというのは、とても尊いものだと思います。
「この出来事は何の呼びかけだろうか」という問いかけは、「すべての物事には意味がある」と同様、絶望から希望を見つける一つの鍵であると思います。
石橋先生は、その視点を医療に持ち込み成果をあげています。
私が言うのもなんですが、これから先のご活躍も本当に楽しみな先生で、志が本当にさわやかなのです。
写真は2011年8月に行われた「TRCミーティング in Okinawa」のものです。前列向かって右から2人目、佐久田の隣りが石橋先生です。
院長先生と同様、石橋先生も志、今も変わらず、です。
http://www.med.jrc.or.jp/information/teatime_47.pdf
通りすがりさん
ご紹介ありがとうございます。
石橋先生が頑張られている姿を拝見すると、私などまだまだという気持ちです。
本当に素晴らしい先生ですね。