長時間透析と旅行透析

旅行透析の方を受け入れることは、私達が楽しみにしていたことのひとつでした。

その訳は、その方の地域、あるいは、その方が普段通っているクリニックの透析に対する考え方を直にお聞きしたり、実際に透析治療をして実感することができるからです。

その差異に新鮮な驚きがあったり、感心したり、やはり勉強になります。

 

今回は、特にそうでした。

その方は12月29日から来沖され、当クリニックで31日の大晦日に6時間のオンラインHDFをされました。

実は事前にお電話をした際に、通常の透析処方では6時間になっているのに、申し込みが5時間ということになっていたので、疑問に思って確認させていただいたのです。

(旅行の日程が詰まっているから短く希望したのか、そうでなければ遠慮されているのか)

結局はその方が遠慮なさっていて、中間をとって妥協案を探っていたのだということがわかりました。

 

日本の透析施設で多くなされているのが4時間の透析です。

4時間を週3回で行う方法が多くなされています。

 

けれども、長く透析に携わる人間は4時間では足りないということを感覚的にも知っています。

生命をつなぎとめる最小限の時間が4時間です。

 

先日のアメリカのKidney Internationalという専門誌にも以下の記事が載っていました。

短時間透析は、体の大きさに関わらず死亡リスクが増大する

 

Shorter length dialysis sessions are associated with increased mortality, independent of body weight
Kidney International 83, 104 (January 2013). doi:10.1038/ki.2012.346

 

日本透析医学会の「透析処方関連指標と生命予後」の調査でも基礎的因子による補正解析のみでは5時間未満の透析時間では透析時間が短いほど死亡リスクが増大するという結果が出ています。
ただし、Kt/V(透析量)と栄養因子で補正解析すると、4.5時間以上の長い透析時間のグループも、統計学的にリスクは低下しなくなります。

つまり、透析する方もたくさん食べて栄養状態を良くしなければならないということだと思います。
栄養状態が良い方がお元気なのは当然といえば当然のことですから。

 

5時間、できたら6時間の長時間透析をおすすめしたいというのが私達さくだ内科クリニックの考えです。

そして、透析に関して何らかの愁訴がある方には週4回の透析をすすめています。

体調を維持して元気に長生きしていただくためには、たっぷりと透析をしてたっぷりと食べて欲しいというのが願いです。

そうしていただくために、どうやったら6時間を快適に過ごしてもらえるかが、今後の課題といえます。

4時間弱の長編映画、たとえば有名な「十戒」という映画でさえも途中で45分間の休憩時間があったぐらいですから。

 

話をもとに戻しましょう。

 

旅行透析で来ていただいた方は、長時間透析をずっとされている方でした。

原因不明の症状があり、それを克服するために今の透析の仕方にたどり着いたとのことでした。

オンラインHDF(後希釈)6時間×3回/週。それに加えて隔週で週4回をされているそうです。

 

本当にお元気そうで、顔色も良く、透析をされている方特有の肌色ではなく、きれいでした。

またゴルフも再開されたそうです。

1月1日には帰宅の予定とのことでしたので、今頃はすでに日常に戻られていることかと思います。

沖縄の旅を楽しんでいただけたでしょうか。

また来沖されることを楽しみにお待ちしています。

 

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