ガイドラインとマニュアル

「ゴミ箱の置き場所さえ簡単に決めることができない。」

「開院の準備はどう?」と訊ねられた時の、やや自嘲気味に返した答えがこれでした。

佐久田が普段、優柔不断の傾向があるという生来の性格を説明したいのではありません。

 

医療の世界ではエビデンスに基づいた(つまりは科学的根拠がある)数多くのガイドラインやマニュアルが存在し、それを知らずして何事も無手勝流に進めてはいけないということです。

個人の経験や慣習に依存する風土をつくってしまうと、「それ、本当?それで安全?」と確認することがなく、それこそ間違いとまでは言いませんが、誤解に気づかないことがあります。お互いにチェックする雰囲気は、どこの世界でもやはり大切です。

 

ガイドラインやマニュアルはもちろん完全ではありませんが、今現在の必要最低限の前提として、必要な知識になってきます。

ガイドラインやマニュアルを読み解くににも、「なぜそうなっているのか」というひとつひとつの動きや全体の背景に疑問を持つ姿勢が求められてきます。

 

たとえば、気管切開術が施され気管カニューレが挿入されている方を当クリニックでお引き受けする機会がありました。

開院したばかりのクリニックですから、お引き受けするには新しくその準備が必要です。

まず吸引器が必要。吸引カテーテル。手袋。

ん?手袋は未滅菌?清潔なもの?

「前の病院ではどうやってたんだっけ?」

「前いた病院では…。」

そういうお話になってしまうのは自然な流れです。

けれども、それを流してしまうのではなく、確認していく作業を繰り返していけば、むしろ新しいクリニックだからこそ再確認の機会に恵まれているといえます。

 

手技そのものに関しては厚生労働省のホームページに「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修関係資料」というものがあります。

介護職員向けの資料ですが、参考になります。

 

そして、米国CDC院内肺炎防止ガイドラインなどが良い指針となります。

   吸痰における手袋は滅菌のもの、清潔なものを問わない。

 

国内でも日本呼吸療法医学会が気管吸引のガイドラインを示してくれています。

手袋は未滅菌の使い捨てのものでよい。

 

また、洗浄水についてはこういう記載があります。

吸引カテーテルの洗浄用として水道水の使用についてはエビデンスがない。
CDCのガイドラインでは滅菌水の使用を推奨している。

 

また、いろいろと調べてみたいことが増えてきました。

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